どさくさに紛れて家電量販店のヘルパー問題について深く突っ込んでみる

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まさに現代社会の闇。がんばれAmazon。「こんれでオラもミリオネアだあ」と暴走してしまった町の電器屋さんの成れの果て。家電量販店のヘルパー問題についてダラダラ好きなように語ります。

家電量販店に行くと必ず声をかけてくるカラフルな人たち

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家電量販店に行くと、色とりどりのブルゾンやチョッキ(シャリシャリいうやつ)を着ている人がたくさんいます。

 

あの人たちって、何者だと思います?

「家電量販店の社員さん!」

そうそう。その日の気分で

「いいことあったから今日は赤のブルゾン着ちゃお♪」

とかその日の気分でコーディネートしているんです。

 

……って違います。

 

あれはメーカーとか通信キャリアが自社の商品の販売を促進するために派遣している人たちで、ほぼ全員「派遣社員」です。

現代社会の闇なのだよ

昔、私がまだ地元にいたときのこと。

夜中に家族が寝静まってから自室の机であんなことやこんなことをするのに小粋な照明が欲しいと思い、家から一番近い(片道7km)家電量販店に行きました。

 

照明コーナーでタッチセンサー式の小洒落たデスク照明をすさまじいスピードで点けたり消したりしていると、「フレッシ」みたいなブランド名が入った青いチョッキを着た店員が話しかけてきました。

見れば小中と同級生だったRくんでした。

 

「なんだJINちゃんか」

「久しぶりやなあ。え、椰魔堕電機で働きよると?」

「まあね(おすまし)」

「Rくんすごいやん。椰魔堕電機に就職したんや?」

「いや、違う。派遣でフレッシの獲得してるよ」

「え、じゃあなんでここにおって俺に照明の接客しようと?(そもそもハケンて何?)」

「……フッフッフ。まあこれが現代社会の闇なのだよ(原文ママ)」

 

Rくんは昔から、些細なことをあえてまわりくどく言って人の気を引いていい気になるところがあり、以前にも、

「どうやら我が家の土地に何か得体の知れない呪いがかかっているようだ」

とか言って、週末のお泊まり会を持ちかけてきたことがありました。

※とりあえずお母さんが美魔女だったということだけはマニアな読者様向けに申し添えておきます。

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ところが、そこからのRくんの話は、Rくん補正がかかっているとはいえなかなか衝撃的な内容でした。

 

「え、なんでフレッシと照明が関係あるん?」

「売らなきゃ怒られるからだよ」

「どゆこと?」

「フッフッフ……こないだなんて朝通勤中に事故って病院送りになったけど、店から鬼電がきて午後から出勤させられたのさ」

「Rくんまわりくどい」

「ま、俺たちは利権には逆らえないということさ」

「ふーん(断念)」

「本当は今、そこの防犯カメラで店長に見られていて、インカムでJINちゃんが買うのか買わないのか、買わないならさっさと離れて他の客当たれって言われてるんだ」

「これください」

 

結局、私は近くにあったガンダムの肩のパーツみたいなカクカクした蛍光管の照明を買ってそそくさと店をあとにしました。

 

「なんかRくん大変やなあ……」

くらいにしか思わなかったのですが、まさかその数年後に自分が同じ境遇に置かれるとは、この時は思ってもみませんでした。

現代社会の闇へようこそ

一人暮らしを始めてから、なんやかんやで私も派遣社員になっていました。

別になりたくてなったわけじゃないのですが、当時は派遣会社全盛期で、ふつうに求人情報から応募しても派遣会社に登録させられるといったことが多々ありました。

 

なんでそうなったのかは詳しく覚えていませんが、私はインターネットの獲得業務で家電量販店に派遣されることになりました。

配属はパソコンコーナーでした。インターネットの獲得業務なのでまあそうですよね。

 

入店してすぐ、とりあえず世話役みたいな先輩にあいさつをしてから、その人にくっついて売り場の社員さんに片っ端からあいさつ回りをしたのですが、どの人も接客業をしているとは思えないくらい、めちゃくちゃ冷たい対応でした。

「もしかしてこの人(世話役)嫌われてるんじゃないの?」

とか思いながらヘコヘコしていると、世話役の人が明らかにこれまでと違った緊張感で私をある社員さんのところへ連れて行きました。

 

「マママ、マネージャー!今少しお時間よろしいでしょうかッ!?」

無視。

いやいや、その距離で聞こえてないわけないだろwww

 

「あ、あの、マネージャー?……」

無視。

もういいじゃん。なにこれ軍隊みたい。

 

「マ――」

「ぁあんだよ!?(激怒風味)」

うわいきなり怒った!!

「ももも申し訳ありませんッ!あの、あの、ウチの新人で……」

「じ、JINと申します」

「あっそ。売り場のことしっかり教えとけよな」

え、まじ?俺には一瞥もくれないんですか。

 

こうして私の家電量販店勤務は爽やかに幕を開けたのでした。

インターネットの獲得業務?

とりあえず、初日は世話役の人にくっついてメモを取りながら売り場のことを教えてもらいました。

 

しかし、段々と頭の中に「?」マークが。

◆お店のルール←わかる
◆パソコンの性能の違い←まあわかる
◆プリンターの性能の違い←うーん?
◆延長保証のつけかた←ううん?
◆クレジット機能付きポイントカードの獲得方法←えっ
◆今月積極的に売らなきゃいけない機種←は?
◆退勤時にマネージャーにパソコンの販売台数の報告する時のやり方←ちょっと待て

 

台数報告があるとか、それってもうパソコン販売メインじゃないですか。インターネットの獲得業務じゃなかったのかよ。

のみならず、パソコンの販売台数にノルマがあるそうで、それを達成しないと帰らせてもらえないとのこと。

意味わからん。大型ショッピングモールのフードコートの牛丼屋さんが食品売り場でイチオシスイーツ売らんと帰らせてもらえないくらい意味わからん。

 

ていうかもうこれ、家電量販店の社員じゃんか。

 

「なんでなんで?」

当時まだ世間を知らなかった私は、先輩や派遣会社の担当に疑問を素直にぶつけてみました。しかし、みんな口を揃えたように

「そういうものなんだよ……」

「仕方ないことなんだ」

とか言いやがります。

 

ここでハッとしました。

「これが現代社会の闇か」

立ち込める灰色の靄の中で、フレッシのチョッキを着たあの日のRくんがフッと暗黒微笑を浮かべていました。

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恫喝される

社員さんたちは他のスタッフとはそれなりに雑談をしたり、仲良くしているようでしたが、なぜか私にだけはほんの些細なことで罵倒したり、すごくキツく冷たく当たってきました。

「え、俺なんかした?」

まだ入店して1週間も経っていないので、身に覚えなんてありません。

 

私は高校時代にけっこうなレベルのいじめに遭っているので、なんか今置かれている状況がそれに似ていることはわかりました。

私はそういう経験があったのでまだ状況を分析をする余裕がありましたが、これをもし真っ白な人が味わったらストレスで心が壊れること間違いなし。

最悪の場合「自殺」も余裕で射程内に入るだろうな、と思えるくらいのハイストレスだったと思います。

 

今になって思えば、若かったし、勢いで辞めてしまえばよかったのでしょうが、初日のマネージャーの勢いにすっかりビビった私は一生懸命【家電量販店の社員】になろうとします。気づけば、

「(社員さんたちに受け入れてもらえるように)パソコンをたくさん売らなきゃ!」

という健康的な思考になって、強迫観念に煽られながら売り場でガンガンお客さんに声をかけていました。

けっこう必死だったので、数日で自力でパソコンを売れるようになりました。

なんかそれはそれで達成感があって悪い気はしなかったのですが、ある日事件が起こります。

 

たしか、ノートパソコンを売った時だったと思います。延長保証も獲得したし、バッチリ!とか思ってお客さんをレジへご案内。会計が無事終わりかけた時のこと……

「あ、そういえばプリンターも買おうと思ってたんだわ」

まだ不慣れな私は、延長保証が獲得できたことに舞い上がって、プリンターのことを聞き忘れていたのです。

 

とりあえずポイントやら割引がなんやらで会計を一回取り消ししてから、お客さんにプリンターを決めてもらって再度会計してなんとかその場は終わりました。

 

さて、気を取り直して売り場に戻ろう、と思ったその時――

「おい、テメエちょっと来い!!」

マネージャーでした。

 

私は言われるがまま、お客さんから見えないバックヤードに着いて行きました。ここからのセリフをそのまま載せるといろいろアレなので、ダイジェストでお送りします。

◆なぜパソコン売る時に確認しなかった?(すみません)
◆お前のせいでいらない手間がかかった。お客様にも面倒をかけた(たしかに。申し訳ありません)
◆お前はバカか?(バレちゃいましたか)

……などなど、ちょっと内容はマイルドに脚色はしていますが、このようなことをバックヤードに社員さんが野次馬に来るくらいのすごい剣幕で浴びせられました。

注意とか叱責じゃない、あれはどう好意的に見ても恫喝でした。

家電量販店に配属される時は覚悟を

結局、そのお店には1年くらいいましたが、その後もなんやかんやでいろんな家電量販店で仕事をしました。

その中で見てきたことや、また休憩室でうっかり聞いてしまった話などからわかったことがあります。

 

どうやら家電量販店の中には、

入店間もないヘルパーに初日~1週間以内に、複数項目について指摘・注意(恫喝)をして心理的優位(ラポール)を握り主従関係を構築しろ

という暗黙のマニュアルを設けているところが何社かあるようです。

 

驚くべきことに、これは世界中の刑務所で実際に行われている心理術です。

刑務所では入って間もない囚人に服役中言うことを聞かせやすくするために、入所初日~3日以内に必ず何か本人が「え、こんなことで?」と思うようなことで難癖をつけて大声で怒鳴る、という手法が実践されています。

人間には防衛本能があり、置かれた環境について圧倒的支配権を持つ相手に、頭ごなしの一方的な恐怖を与えられると、その後も無条件に相手の言うことを聞きやすくなり、また自分から尊敬や敬愛の念を持って、相手に気に入られて守ってもらおうとする心理(ラポール)が働きます。

※ただし、こうしてラポールの仕組みを知ってしまった人には圧倒的に効きにくくなります。

 

まさかこれを知らないで「偶然そうなっちゃった」なんてことないですよね?

あまりにもできすぎているでしょう。

少なくとも私の経験上、はっきりとこのラポールを狙って行っているケースが多かったように感じます。

なんでそんなことをするの?

答えは簡単で、ヘルパーは家電量販店が雇っているわけではないので、人件費がタダだから使わない手はないからです。

それによって自社の人件費を削減できます。

 

さらに、これが一番恐ろしいのですが、家電量販店とヘルパーの間に雇用関係がない上に、多くの場合ヘルパーは多重派遣で間に何社も入るため、何かあって労働局に通報されても家電量販店がお咎めを受けることはまずないのです。

つまり、労働者の最後の武器である労働基準法が怖くないので、こき使うことも、ストレスをぶつけることも、はたまた男女の関係を迫ることも何でもできてしまうということです。

※実は実際にこの最初の主従関係を悪用して派遣のヘルパーに手を出すという事例は数えきれないくらいあります。家電量販店の店員のヘルパーとの結婚率の高さたるや!プライベートでは全然モテない人でも、お店の中ではこの心理的優位を利用して強気でイケますし、相手も心理的優位を取られているので「強者に気に入られて守ってもらいたい」という防衛本能が発動して、無条件に好意を向け続けるという状態になっており、冷静な判断力が麻痺しているのです。(ストックホルム症候群)私も何度、自分がイケメンホストにでもなったと勘違いしている「電器屋さんの店員」と、それを「カッコイイ♡」とか言っちゃう可哀想な派遣の女の子を見てきたことでしょう。あなたの容姿なら外でもっといい男見つけられるでしょうに……。(その王子様、近い将来法改正で勤め先が違法企業認定されて、収入ゼロのニートになるかもしれないんですよ?)

え、何も罰する法律はないの?

メーカーからすると、家電量販店は自分たちの製品を仕入れてくれる「お客さん」です。

通信キャリアなどからすると、新規の契約を獲得する上で家電量販店はないがしろにはできない巨大得意先です。

しかもエンドユーザーに直接触れているので、その気になればライバル社の商品しか売らないということもできるのです。なんか人質取っているみたいですね。

 

つまり、この関係では家電量販店は、取引上優位な立場となりますね。

この、取引上優位な立場を使って、人材の派遣を不当に強いたり、過剰なサービスを要求することを「優位的地位の濫用」といい、独占禁止法に抵触します。

 

が、しかし!公正取引委員会も公正取引委員会で、このご時世に電話窓口しか用意していません。そんなんじゃ使えません。やる気あんのか?それとも癒着ですか?山吹色のお菓子ですか?

全然報道されなかったけれど過去に公取に怒られている

2008年に大手家電量販店のヤマダ電機がこの優位的地位の濫用で、公正取引委員会から排除措置命令を受けた。

さらに、2010年の法改正からこうした違法行為に多額の課徴金が科されるようになり、2012年2月には家電量販店大手のエディオンが、純利益の50%に当たる40億円の支払いを命じられた。

「家電量販店 ヘルパー問題」

で検索するとゴロゴロと情報が出てくるので興味のある方は調べてみて下さい。

 

不思議なことにほとんど報道されませんでしたし、私の知る限り現場ではまだまだこのような悪しき風習は続いています。

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「仕事だから」が通用するのは就業時間中だけ

私が不思議でならないのが、普通なら――というか、まっとうな思考のできる大人なら、昨日今日会ったばっかりのどこの馬の骨ともわからない人間相手に、その神経を逆撫でするようなこととてもじゃないですが恐ろしくてできません。

 

もしかして、その人はプライベートで格闘技のライセンスみたいなのを持っていて、しかもキレると相手をボッコボコにしてしまう気性の人かもしれません。

もしくは、反社会的勢力の人と親しい間柄にあるヤバい人かもしれません。

過去に暴力で逮捕されたことがある人かもしれません。

そういうのがない一般人だって、本気でキレて襲い掛かってきたらかすり傷では済みません。

彼らはそういうリスクは計算に入れないのでしょうか?

 

たしかに、お店にいる間は優位的地位を存分に使って圧倒的な支配権を発動できるかもしれませんが、年がら年中お店で暮らしているのでしょうか?

相手がヘルパーを辞めて、家電量販店に何の義理もなくなったら?

強い怨恨を持ち、それを忘れず、晴らさずにはおけない人もいるでしょう。

もしかして、私が知らないだけで、社員には福利厚生でSPがついているのでしょうか?

 

会社の指示だろうが方針だろうが、やっていることは怨みを作ることです。すなわち身に降りかかるかもしれない危険の種を撒くことです。

ちょっと冷静になれば、拘束時間中に得られるちょっとの優越感と楽のためには高すぎるリスクだとわかると思うのですが。

 

独り身ならまだしも、もし家族がいるなら家族はかわいそうです。

「お父さんは職場で人をいじめているんだぞー」

なんて胸を張って言えますか?

「仕事だから……」

仕方ないですか?

でも最終的にあなたにそれをさせる判断をしているのはあなた自身でしょう?

仕事のON/OFFで自分を使い分けているつもりでも、どちらも自分がやっていること。あなたはインクを使い分けているつもりでもそれは同じペン先を通じて出ています。仕事着は脱げても自分の判断の責任からは24時間365日逃げることはできません。

それともとっくの昔に、そういう善悪を判断できる自我を奪われてしまったのでしょうか?

そうだとしたら、周囲に絶望をまき散らす人魔そのものですね。

 

 

トップの人たちは、利益の為だかなんだか知りませんが、社員にそういうリスクを負わせているということを自覚したほうがいいと思います。社員は自分のかけがえない人格を破壊しながら、周囲に災いと悪因をばら撒き続けていますよ。

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まとめ

よく小売業では、モンスタークライアントが問題になりますが、家電量販店はそれについて問題にする権利はないと思います。

なぜなら、他でもない自分たちがモンスタークライアントなので。

 

 

インターネットの力に圧されて火の車になっている遅かれ早かれ廃れゆく業界です。

社員に上記のような人の道に外れたことをさせている上の人間も、また人の道に無関心な人間です。自分を守るためなら躊躇なく社員を切り捨てるであろうことは容易に想像できます。

本当の地獄は彼らの再就職のときでしょう。この就職難の時代に一体誰が遵法精神や倫理観の乏しい人間を雇いますか。

 

 

日本のメーカーが持つ高い技術力は海外からの評価も高く、MADE IN JAPANは信頼の証です。

そんなメーカーに対し、取引上優位な立場を悪用して不要な人件費を負担させたり、不当な返品やその他不当な要求を続ける今の家電量販店は、広義でいえば日本の国力を奪っていると思います。

 

まあ、おそらくこれまでずーっと続いているので、何か私たちの知らないところで公取にしょっぴかれることなく違法行為を続けることができる後ろ盾があるのかもしれませんが、とりあえず私はそういうのを一切しない経営を貫くケーズデンキが好きです。

 

現場からは以上です。ありがとうございました。

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