24歳にもなってタバコを吸い始めたはなし

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先日、タバコをふかしていて、ふと僕がタバコを吸い始めた時のことを思い出した。あれは忘れもしない24歳の初冬のことだった。ほんとうにしょーもない理由からだったのだけど、やっぱりニコチンの依存パワーってすごい。

ホレまくっていた彼女にフラれました

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ハイ、ありがちな展開~☆

彼女にフラれたストレスでタバコに手を出して、やめらんなくなって今に至る!【完】

……だったらわざわざ記事にしないっす。コチラの記事に詳しく書いてしまったのだけれど、当時の僕はオネエを志す直前期だった。

見出しの通り、僕は2年付き合った彼女にフラれた。出会った頃の彼女は僕にとっては高嶺の花で、片想いがやっとの思いで実った恋だった。

女々しくて反吐が出るかもしれないけれど、僕はショックすぎて、辛いとか悲しいとか寂しいとかの感情すら湧かなかった。

「終わっ……た、のか?」

ラスボスに渾身の一撃を当てた後の主人公みたいだけど、ほんとそんな感じだった。ひとことで言うとポカーン。まるで現実を飲み込めないまま、僕は抜け殻のように日々を過ごし始める(※実はその後4年くらいその子のことを引きずり続けた)。

そうこうしているうちに、気がつけば、街路樹の枯れ葉の散らばった地面もすっかり雪で隠れてしまった。冬がきた。

防衛反応発動

人間にはショックなことが起こった時に、精神を崩壊から守る防衛機制というのがある。

抑圧・投影・同一視・取り入れ・反動形成・分離・退行・昇華・打ち消し・置き換え・補償・自虐・逆転・知性化

高校で倫理を習った方なら知っているかもしれない。人間である以上、誰しも必ずこのどれかの反応をするそうだ。

 

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僕は寒いのが好きで、雪も大好きだったから、めちゃくちゃ吹雪いている日でも毎日歩いて職場に通っていた。あれはたしか、雪も降らない、風のない静かな夜の帰り道のことだった。僕はふとこんなことを思った。

失恋で傷心した男が、タバコをふかしながらこの雪道をトボトボ歩いて帰ったら絵になるかもしれない……。

はい、ナルシシズム発動!!上記のどれに該当するのかはわからないけれど、僕はなんかそれを無性にやってみたくなって、すぐにコンビニにタバコを買いに行った。思い立った時から急激に緊張したのを覚えている。

それまで吸ったことも、当然買ったこともないから、タバコがお店のどこに置いてあるのかもわからず、しばらく店内をウロウロして、結局見つけられずに一回外に出てコンビニの看板を確認した。

「酒たばこ」

あれーおかしいな。書いてあるのにな~。

僕は店内に戻って、店員さんに聞こうとレジへ行った。あった。

「はい、いらっしゃいませ?」

レジに何も持たずに、やたら動きの固い挙動不審な男が立っているのだ。そんなのタバコを買う客か強盗だ。しかも直前に一回店内を物色している。

僕はやってしまったと思った。どれを買えばいいのかわからない。そうこうしているうちにどんどん店員さんの表情に「?」マークが募っていく。たぶん一回マジで強盗なんじゃないかと疑われたと思う。

「あ、あ、アレ下さいっ!!」

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テンパった僕が指差したのは、マルボロのレギュラーだった。

これには理由があって、僕は中学生くらいの頃に趣味でバスフィッシングをしていたので、

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なんかこいつ(ルアー)に見えて親近感があったからだ。

「ソフトとボックスありますけど……」

おいちょっと待て。ソフトの対義語はハードじゃないのか?なんだよボックスって?

……と、僕はまた焦った。

あ、わかった。ボックスってあれだ、ダース買いのことだ!(※パッケージの固さです)

「ソフトで!!」

「はい、○○円になりまーす」

こうして僕は、かなり難儀しながらも人生初のタバコを手にしたのだった。ドキドキしながら外へ出て、震える手で恐る恐るパッケージを開け、記念すべき生まれて初めてのいっぷ……あれ?

「すみません……」

「いらっしゃいませ……(不審)」

「これください」

僕はライターを買うのを忘れていたのだった。

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生まれて初めてのタバコの味

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夜と雪の静寂の中を、僕は、ひとり苦いタバコをふかしながら歩いた。雪道では誰かが通った道をなぞって歩くのがセオリーだが、抜け殻の僕にはそんなことどうでもよかった。

傷心しきった僕は、時にふらふらと、まだ誰も歩いていない新雪のほうによろけた。その度に雪がザクッと気持ちの良い音を立てた。しかし、自然の奏でてくれる音色も、今の僕の心にはまったく響くことなく、ただの音としてからっぽの心を抜けていくばかりだった。

僕は一本、また一本と新しいタバコに火を点け、紫煙だけを残しながら、とぼとぼと誰もいない道を帰っていった。……

ウソです。

僕はコンビニを出てすぐ、最初のひと吸いをした時点でむせまくり、ゲッホンゲッホンなって、それでも当初の目的を達せんとしぶとくタバコを吸ってはまたゲホゲホ!オエーーッ!!ってやりながら帰ったのだった。ぶっちゃけもう途中からは吸うのやめたし。

帰ってからすぐに洗面所に駆け込んで、これでもかってくらいうがいをしまくって、歯も3回くらい磨いた。

結局、その日からしばらくタバコは吸わなかった。でもせっかく買ったんだし、と残りはお香みたいにして焚いた。ありがたやありがたや。

……と、まあ初回でそんな苦い思いをしたのに、今では立派な喫煙者です。ありがとうございました。

でも、もうタバコはやめます。まじで。

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